行政の情報化とGIS
東京大学生産技術研究所助教授 柴崎亮介氏


 行政の情報化とAM/FM/GIS、国土空間データ基盤について
我々にコンピューターがどのように関わって来たか見てみると、最初は文字・数値が端末から出力される程度だった。最近では、絵や音、動画などに代わっている。テレビやラジオなどに近くなってきている。
いままで文字などのデータ処理だったものが、背後にオブジェクトや対象物がイメージ的にフィットされている。
ある対象物があって、そこからいろいろなデータが出てくる。例えば画像処理でいうと、3次元の対象物からさまざまな画像データが取れる。その画像データを解析する場合には、従来なら画像データだけを見ていた。
そこで仮説をたて、実際に物体がそこにあるのではないか。そこからこのような画像が出てくるのではと予想する。予想したものと手元にあるデータを比較して、かなり近ければ仮説が正しいことが確認できる。
このように情報処理、データ処理を考える空間そのものが、対象物に代わりつつある。
もう一つはバーチャルリアリティー(仮想世界)。だんだん現実世界と重なって、現実世界そのものをコンピューターに取り入れようということになる。
このような観点から見ると、AM/FMは現実の世界をコンピューターに入力してさまざまな情報処理をする。例えばこうやったらなにが起こるかなど、さまざまなシュミレーションが可能な先陣をきるアプリケーションと言える。

  国土データ基盤は基本的にいろいろな情報を空間に結びつける。データを空間データ化するための共通基盤。共通白地図的イメージだ。白地図の上にさまざまなデータを乗せる。
世界統計情報や住居表示の情報などゾーンマップイメージ。データを貼付ることにより、総合化するとか、これまでばらばらだったものが隣接関係が分かってきたりする。
今のような空間データ基盤は国のインフラクトラクチャーで作られている。4年ぐらい前、共通の白地図があるといいという話があった。そのような夢物語が、昨年度国政予算がついてできるようになった。
ある一定のオブシェクト、例えば道路だとか部分的なデータの世界を構成している。そういったものが提供されるようになってきている。
これにデータを貼り付けて皆で利用しようというのがコンセプト。標準化を部分的にでも進めていくためのドライビングコースになる。空間データが社会的にある程度認知されてきたといえる。
昨年度の補正予算でバタバタと作られたイメージがありいろいろと問題がある。1番の大きな問題はどのように維持管理、更新していくか。その仕組みがどのように組み込まれているか。補整予算のため、空間データ基盤事業が営々と続くかというと今のところそうではない。
もう一つは概念としてあるが、一体どうやって使うのか。利用の仕方は必ずしも具体的なアイディアがあるわけではない。特に問題なのは、市町村。今のGISの最大ユーザーに当るが、そういったところがどのように利用ができるのか。
あるいは市町村はいろいろな情報を持っている。そういった情報を使ってデータ基盤に寄与する。いったいどのように組み込まれるのか、寄与できるのか。
データ基盤を皆で使いましょうとなった場合、標準化とある程度セットになっていないといけなくなる。本年度から国土地理院が官民全体研究という枠の中でプロジェクトが開始される。ISOなどの取組みについては来年までには技術的な企業にとって需要な話は、データを使ってなにかやった時に、著作権とか利用権だとかあるいは公共使用権などが一体どうなっているのか。これについてもまだはっきりした条件が出されていない。
例えば市町村でのGISの使われ方の問題点、中央官庁の対応、企業の最近の取組みなど、空間データ基盤のコンセプト自体はいいものだが、それをどうやってうまく活かしていくか。考えていく必要がある。
今年の6月、中央官庁の中で空間データに関する省庁連絡会が開かれた。そこで中間答申が出て、空間データを整備していくことは社会的に重要だということが、公式に認知されたこと。それを受けて各省庁で、例えば自治省ではどのように取り組むのか、農林省はどう関わるべきかというような検討が活発に始まっている。
自治体と国土空間データ基盤の関係はいかにあるべきかということを考えていくことが必要になってきた。我々が考えなければならないことは、まず1つは維持管理。技術的に維持管理してもだれも使わない、あるいは使えない。いかに企業が自由に使えることを考える必要がある。
これから整備されるデータは公共的なものか主になってくる。公共サイドから完全にコントロールできる、あるいは完全に抱えこむ。よりフレキシブルで自由に利用できる。あるルールを守れば自由に使えるシステムを考える必要があるのではないだろうか。
全体システムの中でそれぞれ参加者が自分の利害関係で動く。皆がある程度幸福になるような、仕組みを考えなければならない。例えば消費者、行政的には市民とか住民、企業でいえばデータを作る人もいれば、使う人もいる、あるいは地方公共団体。 本来こういう情報はどこで取られているか。それをどのように流通させるかというデータの観念と、もう一つはデータだけ取って自分にはメリットがないやり方をすると、当然そこはデータを取らなくなる。
こういったものの関係をどのようにするかを考えなければならない。
市町村はAM/FM/GIS系の空間データ事業に関しては、先駆者です。大きな自治体、あるいは意欲的に取り組んでいる所の数が多くなってきている。
全体として見た場合、担当者が非常に熱心である、トップが非常に理解があるといった場合からスタートすることが多い。孤立無縁の戦いをしてきている。
最近はAM/FMインターナショナルといった会合であったり、あるいはGIS学会であったり、だんだん横のネットワークができて、いろんな情報が得られるようになってきた。
基本的には孤立無縁であるケース多い。例えば、データ整備の観点からいうと、すべてのデータを少なくと自分で整理して維持していくところからスタートしなければならない。かなり標準パターンができてきてはいるが、どんな市町村、自治体でもシステムの計画書、どこでどんな地図を作られているかのマトリックスを作る。
ここの自治体では200種類の図面が作られていて、このうちベースになっているのが都市計画図と道路台帳であるなど、というところからやっていかないと、なかなかどのようなデータを入力したらよいか、わからない。
データ整備、システムの機能という意味でも、ベースマップなどを2500分の1を縮尺して作った場合、かなり簡略化したものを作る。そういったものを建設省が都市計画のヒヤリングに提出した時に、果たして通るのかといったようなことがある。建設省の担当者に尋ねないとわからない。データそのものは公共測量座標規定に載っているので、国土地理院に電話を掛けて問い合わせればよい。そのようなデータが入っていれはせ、少なくとも地理院としては地図と認める。地図の正式な定義はなにかというと、各省庁の係長、課長補佐クラスの判断が必要になってくる。
データ整備の境界条件がよく分からなく、以外と硬直的である。そういう意味ではどのようなものを出したらいいのか、必ずしも明確でない。
非常に大量のデータを自分で入力しなければならない。そのデータのユーザーは今の段階では自分しかいない。そのシステムを入れることで業務がどのくらい効率化するか、合理化するか。自分のためでけのメリットで果たしてペイするか考えなければならない。
空間データ的考え方が広がって、自治体からデータを吸い上げて、それを運営させるようになれば、自治体には滞貨が落ちるので、データを作ること自身が自治体にとってメリットになってくる。
もう一つはインセンティブが十分でない。担当者は非常にやる気になっている。全体として今のやり方でどこが悪いのか。といわれてしまうと、困ってしまう。
競争がないからインセンティブが生じない。インセンティブはずーとそのままかというと、そうではない。例えば固定資産など路線価の公開、行政サービスはここまでいかないとだめだと中央官庁が境界線を引けば、当然インセンティブが発生する。 どのようなデータをどのように整備すればよいかが明確になる。

  基本的に市町村はいい情報を持っている。この情報をいかに外に持ってくるか。当然、市町村にはメリットがなければだめなので、データを入力や更新、メンテナンスなど管理してもらえるシステムにすればよい。
こうしてデータが整備されれば、企業でも使えるようになる。
CALSとGISをリンクさせ、事業の縦の糸と空間の横の糸がうまく結びつく方法を考えることも重要だ。