インターネット対応次世代地図情報システム日立製作所 嶋田茂氏 公共企業体や地方自治体では、インターネットや無線通信技術を用いた次世代の地図情報システムの実用化を求めている。 空間データ、属性などの一元管理と、端末属性に適合するメディア形態に、加工しながら情報提供可能な能動型検索機構を備える、新しい地図情報システムの設計構想を提案する。 新しい設計思想を備えた地図情報システムの実現例として、WWWサーバーに連携したORDBMS(相関的目的物のデータベース管理システム)より、二次元の住宅地図と階数情報を検索した結果からVRML(インターネットのWWW上で仮想空間を実現するための記述言語)形式の三次元仮想空間を動的に生成するシステムを作成し、その実用性を確認したことを発表する。 最近、ATM(広帯域サービス総合デジタル網を支える通信方式)に代表される高速デジタル通信網に加え、PHSや衛星を用いた無線通信技術の発達が目覚ましい。これらの通信手段を活用したインターネット関連技術もJAVAやVRMLなど、高度機能の標準化が急速に進展している。 そこで地図情報処理の分野においても、新しい技術を取り込んだシステムの開発が求められるようになってきた。 次世代地図情報システムの新機能として、インターネット経由の情報提供環境が実用化されると、インターオペラブル(相互運用)な検索が容易になることが挙げられる。例えばある建物の階数情報を持つサーバーと住宅地図などの地形図データを持つサーバーをそれぞれ独立して検索する。 それらの結果を別のWeb端末が合成して目的のデータや画像を表示する。複数サイトの統合的な検索が可能になる。 ところが一般的なインターネット対応の情報提供システムは、すでに各種のシステム構成が提案されている。インターオペラブルな検索をする上にはいくつかの課題がある。データ形式や空間情報の管理方式、無線通信環境下での情報提供状態、ノマディック(自由自在に移動しながら)な検索などが問題になっている。 データ形式の課題として、地図や図面などを表す空間情報が画像形式で提供される場合、各要素からハイパー的検索は不可能である。インターネット管理下での標準的なベクトル処理系の方式実現が課題になる。 空間情報は可変長で隣接関係を有するので管理が難しい。インターネットで使うには空間・属性情報を効率的な一元管理方式が求められる。 情報の提供形態として地図データは容量が大きく、現状の無線通信速度では十分ではない。携帯端末の表示面積の大きさにも問題があり、デスクトップ向けのデータを直接扱うのには厳しい。そのため移動端末の属性に最適な情報提供の方法が必要になる。 無線通信の弱点にノイズや途絶える問題がある。通信中途切れた際、途中で中断したデータ検索のプロセスを再開する方法が要求される。 これらの課題を解決するため、VRMLによる空間情報提供、ORDBMSによるデータベースの一元管理、能動型検索機構による動的な情報提供方式を基本方針に「サイバーマップ」と呼ばれるプロトタイプのシステムを実装し、性能を評価した。その結果、性能が十分実用に耐えうることを確認し、現場での対応に有効な移動型情報提供システムが実現する可能性を見い出した。 |