【内見ポイントの教科書】リフォーム前中古マンションを見学する際に気をつけたいポイント

最初はリフォーム前の中古マンションをなかなか探し出すことができなかったAさん家族ですが、じっくり探すうちにいくつか気になる物件が見つかってきました。そこで、検討を一歩先に進めるために、物件を実際に見学することになりました。

AさんもAさんの妻も、これまで賃貸物件を借りる際に何度か内見をしたことがあるものの、購入を検討している分譲マンションの見学は初めてです。新築物件と違いパンフレットなどが用意されているわけでもない中古マンションでは、どのような点に注意して見学すればいいのでしょうか。

買いどきの築年数と気をつけたい築年数

一言で「中古マンション」といっても、その築年数は物件によってさまざまです。築年数が経過している物件ほど価格は安価になる傾向がありますが、その反面、劣化も激しくなり、場合によっては修繕しないと住めないような物件もあります。

Aさん家族のようにリフォーム・リノベーションを前提とした購入だとしても、傷みがあまりにも激しいような物件では修繕自体に多額の費用がかかってしまいます。中古マンションの物件を購入する場合は、築年数と価格のバランスを見極めるのが重要です。

そのなかで特に注目したいのは、築20年ほどの物件です。中古マンションは築年数の経過に比例して価格が下がりますが、築20年から25年程度で底値を迎えるといわれています。したがって、物件の状態と価格のバランスが比較的いい状態になりやすいのです。

反対に、気をつけたいのが、2018年時点で築37年以上経過している物件です。1981年5月以前に建築確認がなされた中古マンションは、現行の耐震基準より条件の緩やかな「旧耐震基準」に則して建てられています。旧耐震基準の建物が問題であるとは限りませんが、新耐震基準が適用された建物のほうが安心感が強いといえるでしょう。

見学時に確認しておきたいポイントについて

物件の外側の見学ポイント

中古マンションの外側から物件までの道のりでは、建物の外壁や共用部をチェックしましょう。

・マンションの外壁に目立つひび割れやサビ、汚れなどの劣化がないか
・駐車場、駐輪場はマナーよく使われているか
・ごみ置き場はしっかり清掃されているか、ごみの分別は適切か
・エントランス、廊下、エレベーターなどの共用部分の清掃状態、照明、ごみ・私物の放置状況など

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物件の内側の見学ポイント

物件の室内に入ったら、室内の状態をくまなくチェックします。

・ドア、窓などの開閉をスムーズにできるか、ドアの枠や窓などが傾いていないか
・床にきしみやゆがみがないか、床の厚みはどのぐらいか
・天井や壁にひび割れやゆがみがないか、水漏れやカビの痕跡がないか
・窓からの日当たり風通し、眺望の具合
・キッチン、トイレ、洗面、バスルームなどの水まわりの使いやすさ、カビや悪臭の有無

居住中の物件の見学ポイント

物件のオーナーが住んでいる段階で売りに出している物件の場合、見学時にオーナーや家族が家にいることがめずらしくありませんし、同席していなくても家財道具も置いてあります。その状態では遠慮してしまって気兼ねなく見学できないと思う方もおられるかもしれません。

しかし、人生に何度とない大きな買い物をするわけですから、見学に遠慮は禁物です。ドアや窓の開閉、収納の内部、水回り、床下収納庫や点検口など、確認すべきところはすべて確認しましょう。ただし、了承を得たうえで見学するなど、マナーは大切に。

修繕履歴・管理費滞納なども確認を

建物の寿命は日頃の管理状態によって大きく左右されるといわれますが、マンションも例外ではありません。マンションも定期的な点検・修繕は不可欠ですし、十数年に一度は大規模な修繕が必要となります。過去の点検・修繕履歴と今後の修繕計画を確認しておきましょう。

また、マンションでは管理費や修繕積立金の支払いが必要ですが、売り主がそうした費用を滞納したまま売りに出しているケースもあります。加えて、毎年支払う固定資産税を滞納していることも。こうした滞納がないかどうか、事前に確認するのを忘れずに。

おわりに

築年数が数十年経過した古い中古マンションは安価で購入しやすく、リフォーム前の物件であれば購入費用をさらに安くおさえることも。その後、ご自身やご家族の好みに合わせてリフォーム・リノベーションを行うと考えれば、夢は広がるでしょう。しかし、中古マンションには中古ならではの注意点があります。

見学に際しては、「当日持参する物」と「当日確認すること」のリストを作って持っていくとチェック漏れを防ぎやすくなります。実物を見学できるのは、中古マンションならではのメリットです。その機会を最大限に生かしましょう。